カレーは思い出

 カレーとは何だろう?と疑問に思った。先日、妻の実家より、ナスやキュウリなど夏野菜を大量にいただいた。妻はそれを適当な大きさに切って、ごった煮にしてカポナータのようなラタトゥイユのようなチャンボッタのようなピストのようなものを作った。晩ご飯にそのカポナータのようなラタトゥイユのようなチャンボッタのようなピストのようなものをいただいている時にふと「これにカレー粉をかけたらカレーになるのだろうか」と疑念を持った。さっそくカレー粉をかけて一口食べてみる。「カ、カレーだ」カレーになった。ついでに、付け合わせで食べていたコンソメスープにもカレー粉をかけて食べてみる。「カ、カ、カレーだ」こちらもカレーになった。その時、カレーとは味よりも匂いが強烈なのだなと思った。あの独特な香り。そこで「この部屋中にカレー粉をバラ撒いたら、この部屋はカレーになるだろうか?」とあらたな疑念を思った。しかし、妻に怒られるだろうからやめにした。ひとつ腑に落ちたことがある。歌の歌詞にはカレーが出てくるものが多い。それも思い出を唄ったような歌詞が多い。少しく悲しくせつない、郷愁を感じさせる歌が。それはおそらくカレーの匂いのせいなのだと気がついた。カレーの匂いが過去の記憶を呼び覚ますからなのだ。嗅覚と脳の記憶を司るところはつながっており、しかも何故か子供の頃の記憶を呼び覚ますと聞いたことがある。誰しもカレーの匂いには何かしら子供の頃の記憶があるのであろう。それも幸福な思い出が。それが歌になるのであろう。大人がカレーを食べて「おいしい」と言うとき、それは、子供の頃の楽しかった記憶を思い出しているのかもしれない。

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