男の世界には「辛いカレーを食べている奴が威張る」という不文律があります。僕は辛いものが不得意です。ですので普通のカレーを食べているとします。そんな僕に男Aは言ってきます。「なんだお前、普通の辛さのカレーを食べているのかい? ふっ、お子様だな。俺なんか辛さ2倍だぜ!」。それに対して男Bが「辛さ2倍? そんなのは、ぜんぜん辛くはないぜ。お前こそが子供さ。俺は辛さ5倍さ!」。さらに男Cが「辛さ5倍? 甘い甘い。甘口だぜ。ガキどもが。俺は辛さ7倍さ!」とキリがないのでした。「お前らのその威張るという考え方がお子様だろ」と言いたくなるのですが・・・。しかし、なんなんでしょうか、あの「俺は辛いもの食べられるぜ自慢」は。えーと、それはそれとして。辛いものが好きな人は何故さらにもっと辛いものを食べるのでしょう? それはどうやら「もっとβエンドルフィンを分泌させるため」のようです。脳内麻薬。辛さという「痛み」を鎮めるために分泌されるβエンドルフィン。それがもたらす快感の虜になってしまい「もっとβエンドルフィンを!」ということで、さらに辛いものを求めるようになるようです。それから「辛いものを好む人はギャンブルなどのアドレナリンが出る活動を楽しむ傾向がある」という研究結果もあるそうです。アドレナリンは興奮物質ですね。アドレナリンが出ているおかげでケガをしても、その直後は痛くないそうです。辛いものを食べるとアドレナリンも分泌されるようで、アドレナリンは「動物が敵から身を守る、あるいは獲物を捕食する必要にせまられるなどといった状態に相当するストレス応答を、全身の器官に引き起こす」のだそうです。興奮するのですね。で、えーと、「辛いのを食べるのはジェットコースターに乗るのと同じようなもの」と言っている方もいました。なるほどなるほど、そうか、辛いものを食べるということは、ハリウッドムービー的にドキドキしてハラハラして最後には気持ち良くなれるのですね。なんか自慢する奴らの気持ちもわかってきました。辛いカレーを食べるということは「戦い」なのですね。そして辛いものを食べた男たちは、その戦いに勝った「勝者」なのですね。・・・けど、僕は普通の辛さでいいです。十分です。松竹喜劇でも楽しめます。敗者でいいです。
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